よく耳にする脳卒中。一体どんな病気なのか?また脳卒中になった有名人や芸能人、スポーツ選手にはどんな方がいるのでしょうか。
近年健康雑誌やテレビの番組で脳卒中が取り上げられることがあります。
脳卒中、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
2017年の日本人の死因で4位につけるおそろしい病気なのですが、知っているようで知らない脳卒中とはどんな病気なのでしょうか。
その前に、脳卒中とごっちゃになりやすい疾患で、脳梗塞や脳出血というものがありますが、しっかり区別がついていない人も多いです。
そこで今回は脳卒中とはどのような病気か、また脳卒中になった有名人・芸能人にはどんな人がいるのか、調べてみました。
脳卒中とはどんな病気?
脳卒中は正式には「脳血管障害」といいます。漢字をみてわかるように、「脳の血管に疾患が起こる病気」のことです。
英語では「Cerebral Vascula Accident」
となり、医療従事者の中ではCVAと呼ばれることも多いです。
脳卒中は大きく脳梗塞と脳出血の2つに分けるとわかりやすいと思います。(「梗塞」とは何かがつまるというという意味です)
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脳梗塞と脳出血の違いは?
さきほど脳梗塞は脳出血と脳卒中ごっちゃになりやすいと書いたのですが、実は脳卒中の中には大きくわけると脳梗塞と脳出血があります。
ですから「脳卒中=脳梗塞」でもなく、「脳卒中=脳出血」でもなくて、「脳卒中=脳梗塞もしくは脳出血」なのです。
新聞で有名人が脳卒中になったと報道されるときには、「◯◯さんが脳卒中で入院」と書いている場合もありますし、「〇〇さんが脳梗塞で入院」と書いている場合もあります。
おそらく入院時の状況がしっかり把握できていなかったり、詳細を伏せているときには、脳梗塞なのか、脳出血なのかわからないので「脳卒中」と報道されているのではないでしょうか。
さらに脳梗塞は脳塞栓症と脳血栓症に分けられます。ちょっとややこしいですね。
図にするとこんな感じです。
脳塞栓症と脳血栓症も脳の血管に何かがつまることには違いないのですが、その違いはつまり方です。
脳塞栓症
脳塞栓症は他の部位でできた血の塊が血管の中を流れてきて、脳の血管のところでつまってしまったことにより起こります。
脳血栓症
脳血栓症は脳の血管の内側に血液の塊がたまりだして、それがどんどんひどくなって、最終的には血管を塞いでしまうことによって起こります。
血管の内側の血の塊とは、洗濯機の柔軟剤投入口に柔軟剤の塊ができていく様子や、洗面所の排水口の内側にカスがたまっていく様子に似ています。
なぜ塞栓症が起こるのは脳や肺なのでしょうか?
脳塞栓症は違うところから飛んできた塊が脳の血管をつまらせて起こります。
たとえばよくあるのは心臓に何か疾患があり、血流が悪くなっているとそこに血の塊ができるのですが、その血の塊が血流に乗って飛んできて脳の血管をつまらせてしまいます。
でも心臓から脳までは少し距離がありますし、そもそも脳ではなく「心臓梗塞」と起こさないのか疑問に思います。(※心筋梗塞は「心臓筋肉に栄養を与えている血管に梗塞が起こることなので、心臓の内部ではない)
これにはふたつの理由があります。
ひとつは塞栓は心臓や心臓周囲の血管をつまらせるほど大きくはないからです。さきほどの塞栓症のイラストでも右側より左側の方を狭くしたのはそのためです。
太い血管のところでは梗塞は起こらず、末梢の血管で細くなったところで梗塞を起こします。
もうひとつは、心臓は全身に血液を送り出したり、全身から血液が戻ってくるところなので、血流がとくにかく早いのです。
台風のあとに濁流になっている川を想像すればわかりやすいでしょう。あのように濁流になっている川に大きな石が転がってきても、流れをせき止めることはできません。
よくいわれるエコノミークラス症候群も、長時間座りっぱなしで脚にできた血の塊が、急に動きだしたときに剥がれて肺の血管をつまらせることによって起こります。
脚から肺までは少し距離があるのですが、その間の血管は太いためつまらず、細くなる肺の血管がつまることによって起こります。
ちなみによく耳にするクモ膜下出血は脳にあるクモ膜の下層にある血管が出血することで、分類上は脳出血のひとつです。
また一時的に脳の血流が遮断される一過性脳虚血発作(TIA)が起こることがありますが、TIAは脳梗塞の前駆症状と言われています。
この症状があるうちに検査をしたり、治療をしたりするのがいいのですが、一過性であるため事態を重く受け止めなかったり、「疲れてるから」と何か違う原因と自己判断して診察を受けない方が大半です。
ただTIAが起こった後に頭の検査を受けても、一過性であるため何も見つからないことも多い実情もあります。
脳梗塞と脳出血の違いはなんとなくご理解いただけたでしょうか。
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脳にはどんな部位がありってどんな働きをするの?
脳梗塞や脳出血を理解するためには、簡単に解剖も簡単に理解しておいた方がいいので、簡単に脳の解剖についてご説明します。
脳には大脳、中脳、橋(きょう)延髄、小脳という部位があり、大脳の奥には間脳【視床、視床下部、脳下垂体)という部位もあります。中脳と橋、延髄の3つで脳幹といいます。
脳の解剖(横から見た図)
脳の解剖(前面から脳の内部周辺)
ちなみにアントニオ猪木さんがプロレスラー時代に「延髄蹴り」という技をやっていたのをご存知ですか。このときアントニオ猪木さんが蹴っていたのが延髄だったのです。
そしてなんとなく想像できるとは思いますが、それぞれの部位ごとに役割があります。
たとえば大脳の前頭葉(ぜんとうよう)では人間の思考や理性を制御していたり、言語や、身体を動かしたりする機能も担っています。
同じように頭頂葉(とうちょうよう)は触ったりする感覚、側頭葉は記憶、後頭葉は視覚と、役割があります。
その他の部位の役割についてはこんな感じです。
- 中脳=無意識の運動と姿勢や運動の制御
- 橋=呼吸、血の循環などの中枢
- 延髄=呼吸や血管の収縮や拡張に関わる中枢がある
- 小脳=固有感覚と平衡感覚、運動の制御などに関与
- 間脳=食欲や性欲などの本能の中枢で、自律神経やホルモン分泌のコントロール
脳卒中の症状と治療は?
部位ごとにそれぞれ役割があるということは、脳梗塞や脳出血がどこの部位に起こるかで症状が変わってきます。
たとえば大脳の前頭葉の言語を担当する部位に脳梗塞が起これば、言語障害が起こります。
また延髄付近で梗塞が起これば、呼吸などの生命維持に絶対不可欠な部位が障害されるので、生死に関わることになります。
脳梗塞や脳出血を起こすと、手足の運動麻痺が必ず起こるようと想像している方も多いのですが、手足の運動麻痺が起こるのは運動機能に関わる部位に障害が起こった場合で、運動機能に関与しない部分の脳が障害された場合には運動麻痺は起こりません。
脳梗塞の治療では、血管の梗塞を起こしている血栓や塞栓を取り除く薬物やカテーテル治療が行われます。
脳出血の治療では、出血部分の血を取り除いたりする外科的な治療や、出血を抑える薬物療法が行われます。
また脳梗塞、脳出血ともに、理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションが行われます。
リハビリテーションでは、理学療法士により運動麻痺を改善するための練習や、立ち上がりや歩行などの動作練習が行われます。
そして基本動作がある程度できるようになってくると、作業療法士による応用動作のトレーニングも行われます。
ただし一度傷ついた脳のダメージは完全に回復するわけではありませんので、何らかの障害が残る可能性があります。
脳梗塞や脳出血はなってしまってからは遅いので、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病を予防するのが一番の治療といえるでしょう。
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脳卒中になった有名人・芸能人は?
脳卒中について簡単に理解できたところで、脳卒中になった有名人や芸能人・スポーツ選手にはどんな方いるのでしょうか。(故人含む)
- 大島渚(映画監督)
- 坂上二郎(タレント)
- 高山善廣(プロレスラー)
- 桜井和寿(歌手)
- 西城秀樹(歌手)
- 大橋未歩(アナウンサー)
- イビチャ・オシム(サッカー監督)
- 小渕恵三(政治家)
- 長嶋茂雄(プロ野球)
- 三遊亭円楽(落語家)
- 大鵬(大相撲)
- 桜金造(タレント)
- 河西昌枝(バレーボール)
- 桑名正博(歌手)
- 宮川大助(漫才師)
- 山下清(画家)
- 東八郎(タレント)
- KEIKO(歌手)
- 木村拓也(プロ野球)
- 伊藤俊人(俳優)
- 小林カツ代(料理研究家)
- 南田洋子(女優)