病院や介護施設の火災時の避難は大丈夫なのか?

スポンサーリンク

病院や介護施設での火災で命が奪われるケースが後を絶ちませんが、今回は病院や施設での火災やその対策について考えたいと思います。

病院や介護施設の火災時の避難は大丈夫なのか?

2013年10月に福岡県の安部整形外科で起きた火災では、10人の尊い命が犠牲になりました。

病院や介護施設における人命救助に必要な対策には、設備面で延焼させないこと、避難することの2つがあると考えられています。


スポンサーリンク


設備面における二重行政の問題点

火災において大事な消防設備がふたつあります。ひとつはスプリンクラー、もうひとつは防火扉です。

スプリンクラーはいうまでもなく、煙や熱を感じると大量の水が散水されますが、安部整形外科には設置されていませんでした。

スプリンクラーは消防法で延べ床面積6000平方メートル以上の医院には設置が義務付けられていますが、安部整形外科は延床約660平方メートルだったため、設置の義務はありませんでした。

安部整形外科火災事故のように古い病院や医院で新たにスプリンクラーを設置するには、費用が大きくかかるため、「じゃあ、いまからつけよう」とはなることはありません。

義務がないのだからよけいそうなりますよね。

ふたつめの防火扉はどうでしょうか。防火扉は消防法ではなく建築基準法の管轄になります。

こちらは各自治体で点検や管理の報告が決められていますが、福岡市の場合、防火扉点検の報告の義務はありませんでした。

病院や施設での火災時避難

病院や介護施設では消防法に基づき定期的に避難訓練は行われていますが、病人や高齢者の避難誘導は想像以上に大変です。

病院では点滴や酸素につながれ動きにくい方もいれば、介護施設では寝たきりで動けない方や認知症でなぜ避難するのか理解できない方もいます。

また火災時にはエレベーターが使えなくなるため階段で避難することになりますが、病人や高齢者は階段での避難が困難なため、はしご車で下ろしてもらう方が多くなります。

ただはしご車で一度に下ろせる人数は限られているため、大きな施設では避難するのに相当時間がかかってしまいます。

安部整形外科の火災の場合、夜勤帯は看護師1名で対応していたようですね。しかも火災時のマニュアルもなかったようです。

そんな状況では絶対安全に逃げられるわけがありません。

命を預かる現場だからこそ

安部整形の火災後、取材を受けていた患者さんの証言では、院長はすごくよい先生だったようですね。

一方で防火扉の前に荷物が置かれていたという証言もありました。(院長は会見で否定)

問題になっていた防火扉に関しても、増築時に煙感知器式に変更しないといけないところを変更していなかったり、そもそも増築の届け出をしていなかったり、ずさんな医院の状況が明るみにでてきました。

この先生を知らない人間がこんな記事を見ると、「ほんとにいい先生ならこんなことしないよなぁ」と思ってしまいます。

介護施設では近年火災による死亡事故が相次いだため、スプリンクラーなどの設置基準の厳格化が進んでいますが、病院や医院は介護施設よりもかなり甘い基準のままです。

さきほども述べましたが、新たに防火設備を設置するのは莫大なお金がかかるため、病院経営上は設置基準に違反していないのであればやりたくないというのが本音なのでしょう。

また病院や医院の設置基準が厳しくならないのには、政治の力が及んでいると疑いたくなります。

繰り返される高齢者施設での火災

高齢者施設での火災事故は後をたちません。

2009年3月には群馬県渋川市の老人施設で火災が起こり10名が亡くなりました。また2010年に札幌市の認知症の高齢者グループホームで起きた火災では7名が犠牲になりました。

記憶に新しいところでは、2013年2月に長崎県のグループホームで火災が起き、4名の入居者が亡くなっています。

病院や施設で年に数回、避難訓練に実施が義務づけられています。「避難訓練だから」と侮っていると、いざというときも対応できないので、職員は真剣に取り組んでいます。

ただそこから見えてきた課題もたくさんあり、火災が起きたときにはどうなるのか心配な部分もあります。

介護施設での避難訓練の実際

以前勤めていた介護施設で避難訓練を実施したときに感じたことを少しお伝えしましょう。

1.高齢者の介護施設だけに自分で動ける方が少ない

これが真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。介護が必要な状態の方が入所しているわけですから、自分でベッドから起き上がり、避難経路を進める方はほとんどいません。

2.認知症の方が多い

認知症の方が多いと、避難自体に時間がかかります。夜中にいきなり起こされても抵抗したり、避難経路ではない方に行こうとしたり。避難すること自体を理解してもらえないこともあります。

3.高所からどうやって降りるのか?

火災が起こるとエレベーターは使用でいません。普通のマンションやビルなら非常階段があり、そちらから避難します。ところが介護施設の場合、階段はあっても階段を使って降りられる方が少ないのです。

かといって、ビルやマンションに備え付けられているようなハシゴを使用することは不可能ですし、避難用の滑り台やシューターで降りられる方も多くはありません。

最終的にははしご車でひとりずつ降ろしてもらうことになるのですが、はしご車のバスケット(かご)部分の定員は大きなもので6名程度です。隊員が最低でも1名乗るとすれば、実際に1回はしごを伸ばしても、5名しか降ろせない計算になります。

さきほどもお伝えしましたが、はしご車のはしごを伸ばして戻す作業ってけっこう時間がかかりますので、大きな施設なら全員を救助するのにかなりの時間が必要です。

4.人手不足

介護施設の場合、夜間帯になると勤務者の数は減ります。特に深夜帯には最低限の人数しか配置していないことがほとんどです。この時間帯に火災が起これば、被害が拡大することは用意に想像できます。

5.設備面

近年建てられた施設は大丈夫だと思いますが、古い施設ではスプリンクラーが設置されていないところも、まだまだあるようですね。

新しい施設でも防火扉の前に物を置かないなど、最低限のルールは守る必要があります。

まとめ

病院や介護施設で火災が起きると、病人や高齢者は逃げることが困難な場合が多く、被害が拡大する可能性が高いです。

結局月並みですが、火災を起こさない防災意識の徹底が一番重要になってきますし、起こってから被害が拡大しないような設備にする必要があります。

二重行政や、なあなあのチェック体制など、いまのままでは問題が多すぎます。

また万が一火災が起こってしまっても避難できるように、日常の避難訓練も気をひきしめてやっておく必要があるでしょう。初期消火の部分で鎮火できるかどうかも重要です。

病院や介護施設にご家族が入られている方は、このような火災時の危険性があることをぜひ忘れないでください。

スポンサーリンク