ギラン・バレー症候群は末梢神経に異常をきたす疾患ですが、その予後は2つのパターンに大別されます。
先日、作家の中村うさぎさんが意識不明の重体になっているというニュースが流れていましたが、そのときギラン・バレー症候群という病名が伝えられていました。
「ギラン・バレー症候群?」「ギラン・バレー症候群ってたしか誰か他の有名人もかかってなかった?」「あとギラン・バレー症候群ってそんなに怖い病気なの?」と気になった次第です。
聞いたことがあっても詳しく知らないと、予防や治療を進めようがないですよ。
そこで今回ギラン・バレー症候群とはどのような病気なのか、また過去にギラン・バレー症候群に罹患(りかん)した芸能人を調べてみました。
ギラン・バレー症候群とは?
ギラン・バレー症候群とは簡単にいうと、末梢神経にトラブルが起こる病気です。
このトラブルは、自己免疫といって自分の体を守るはずの免疫機構が、神経を攻撃してしまいます。
国の難病にも指定されていて、1年間に発症するのは10万人に1~2人と言われています。
こちらのイラストをご覧ください。神経を拡大したイラストです。
ちょっと不気味でわかりにくいイラストなのですが、これがニューロンという神経のひとつの単位です。
図の右側の方に青っぽいベールのような覆っているものがありますが、これは髄鞘と呼ばれるものです。
その髄鞘の中を軸索と呼ばれる組織が走っています。この図でいうと赤い太い管ですね。
ギラン・バレー症候群は、以前は髄鞘に何らかの障害が起こる疾患と考えられていましたが、近年は軸索に障害が起こることが確認されています。
ギラン・バレー症候群の原因
口からウィルスを吸い込いこむことが引き金になることが多いです。また下痢が起こり発症することもあります。
ギラン・バレー症候群の症状
感染後は一気に神経症状が進行します。
神経は大きく分けると、身体を動かす運動神経と、熱さや冷たさ、痛さなどをつかさどる感覚神経がありますが、ギラン・バレー症候群の場合、感覚神経に障害がでることは少なく、主に運動神経が障害されます。
運動神経が障害されると運動麻痺(筋力の低下)が起こります。運動麻痺はたいてい足から起こり、体幹(胴体)、胸、顔というように上に広がっていきます。
足の筋肉が麻痺すると、立ったり歩いたりすることができなくなります。
さらに重症化すると、呼吸をする筋肉や顔を動かす筋肉、ごはんを食べる筋肉が障害される場合もあります。
特に呼吸をするための筋肉(横隔膜や肋間筋など)が麻痺すると、呼吸ができなくなります。
ですから重症化して呼吸筋に障害をきたすと、気管切開して人工呼吸器(レスピレーター)で呼吸をコントロールすることになります。
ギラン・バレー症候群の経過
発症後3週間程度(2~4週)で症状はピークを迎えます。
その後ゆっくり症状は改善し、多くの場合は半年から1年でよくなります。
ただし稀に重症化する場合があり、重症化した症例では自分で歩けないなどの後遺症が残る場合もありますし、数%は死に至る場合もあります。
ギラン・バレー症候群の治療
自己免疫機能を改善するために、免疫グロブリン大量両方や血漿を交換する血漿交換療法、免疫吸着療法などが行われます。
また麻痺して筋肉が動かなくなると、関節が拘縮(かたくなる)してしまうので、関節可動域訓練や筋力増強訓練などのリハビリテーションも同時に行っていきます。
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ギラン・バレー症候群になった芸能人・有名人は??
過去にギラン・バレー症候群にかかった芸能人・有名人にはどのような方がいたのでしょうか。
ギラン・バレー症候群を患った芸能人で一番有名なのは大原麗子さんではないでしょうか。あと女優では釈由美子さん、俳優では安岡力也さん。
スポーツ選手ではサンフレッチェ広島の佐藤寿人選手が有名です。
また意外に知られていませんが、ゴルゴ13の主人公・デューク東郷もこの病気を患っていることになっています。