今回は腕の血管を解剖の画像を用いてご紹介します。
聞き慣れないかもしれませんが、解剖学では肩から先、腕から手の指までを上肢(じょうし)と呼びます。
腕(=上肢)にはどんな血管があるのでしょうか?一緒に見てきましょう。
血管は動脈と静脈が高速道路のように並行している
腕の血管を見ていく前に、血管について知っておいて欲しいことがあります。
みなさんご存知だと思いますが、血管には血液が通っていて酸素や栄養分を運搬していますよね。
その血管には動脈と静脈があります。
動脈と静脈が分かりにくい方は高速道路を想像してください。
高速道路は目的地まで行くことができますが、必ず対向車線があって復路もありますよね。いわゆる上りと下りというやつです。
血管で言えば動脈は下りです。酸素や栄養分を目的地となる各組織まで運びます。
それに対して静脈は上りです。各組織で使われたり不要になった二酸化炭素や老廃物を心臓に運び戻します。
心臓と肺を結んでいる肺動脈、肺静脈だけは役割が逆になるのですが、基本的にはこんな感じです。
あと血管は高速道路ですから、動脈と静脈は並んでいることが多いです。
◯◯動脈という動脈があれば、◯◯静脈という静脈があるということです。
ですから、今回は腕の主要な動脈だけをお伝えしますが、その静脈の側には同じ名前の静脈が走っているとお考えください。
では実際に腕の血管を見ていきましょう。
スポンサードリンク
腕の血管の全体像
※ここからの解剖画像はクリックすると拡大します。
まずは全身の血管の全体像です。
上半身をアップにしてみましょう。
まだまだ分かりにくいですね^^;
分かりやすくするために胸部にある肋骨、鎖骨、胸骨を外してみます。
そして静脈を外して、さきほどお伝えしたように心臓から腕に向かう動脈だけを表示してみましょう。
ちょっとすっきりしましたね。
心臓の左心室からでた上行大動脈は大動脈弓を形成し、左にカーブしきていきます。
右腕の血管は腕頭動脈という血管を介して右鎖骨下動脈に分かれていきます。
一方、左腕の血管は大動脈弓から直接分かれます。
鎖骨下動脈から先は名前を変えていきますが、血管なので一本の道を通っていきます。
ですから基本的にはこの本流を覚えてください。右腕を例にとるなら、
大動脈弓⇒腕頭動脈⇒右鎖骨下動脈⇒右腋窩動脈⇒右上腕動脈⇒右撓骨動脈と右尺骨動脈
そしてその本流からところどころ枝分かれしていきます。このあたりは川と同じなので、川をイメージすれば分かりやすいかもしれませんね。
鎖骨下動脈からは肩甲上動脈と肩甲背動脈が枝分かれします。オレンジ色をつけた血管ですね。
右後上方から見ると分かりやすいです。
腋窩動脈からは最胸動脈、胸肩峰動脈、外側胸動脈、肩甲下動脈、前上腕回旋動脈、後上腕回旋動脈などが枝分かれします。
上腕動脈からは上腕深動脈、肘関節付近には上尺側側副動脈と下尺側側副動脈などが枝分かれします。
ちなみに血圧を測定するときに聴診器を当てるのは上腕動脈です。
上腕動脈の本流は尺骨動脈と橈骨動脈に分かれます。
橈骨動脈は皆さんお馴染みですね。脈を測るときに触れる動脈です。
手のひらにいくと、尺骨動脈と橈骨動脈はそれぞれ枝をだし、深掌動脈弓(しんしょうどうみゃくきゅう)と浅掌動脈弓(せんしょうどうみゃくきゅう)を作り、指にいく血管に枝分かれしていきます。
スポンサードリンク
まとめ
腕の血管をイラストを用いてご紹介してきました。
あとひとつお断りをしておかなければならないのですが、今回ご紹介したのは腕の主要動脈で、皮膚の血管などを含めれば他にも小さい血管はたくさんあります。
これだけ理解しておけば上肢の血液の流れは理解できるというものはご紹介していますので、もっと詳しく知りたい方は解剖の本などをご覧ください。