以前、加藤茶さんがパーキンソン症候群であったことをテレビ番組で告白しましたね。
でもよく見ると「パーキンソン病」じゃなく「パーキンソン症候群」なんですよね。
最近有名人がカミングアウトしたことで「パーキンソン」という言葉が雑誌やテレビで取り上げられるようになりました。
みなさんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
このパーキンソン病は恐ろしい病気であることは間違いないのですが、死因に上がってくることはありません。なぜなのか理由は分かりますか?
何となく知っているようで知らないパーキンソン病。
パーキンソン病やパーキンソン症候群。一体どんな病気なのでしょうか?またパーキンソン病になった芸能人や有名人、スポーツ選手にはどんな方がいるのでしょうか。
パーキンソン病とパーキンソン症候群の違いについても詳しくお伝えします。
せっかくの機会ですので、この際しっかり理解しましょう。
パーキンソン病の初期症状と経過は?
まずはパーキンソン病の概要について分かりやすく解説します。
パーキンソン病の初期症状
パーキンソン病の初期症状として最も多いのは振戦で、初期症状全体の60%を占めます。
振戦とは分かりやすくいうと「震え」のことです。
パーキンソン病の振戦の特徴としては、片側の手指から始まる静止時(じっと止まっているときの)振戦です。
振戦の後、固縮(こしゅく)・無動(動作緩慢)、姿勢反射障害などが起こるようになります。
振戦・固縮・無動をパーキンソン病の三大徴候、また姿勢反射障害を加えて四大徴候とも呼ばれています。
これらの四大徴候に加えて、自律神経徴候(便秘・排尿障害・起立性低血圧・脂顔・四肢循環障害・多汗など)や情緒面の異常(抑うつ状態の合併が多い)、認知障害を認めることが多いです。
パーキンソン病は慢性進行性疾患ですが、現在ではl-DOPAという薬を投与することによって10数年にわたり日常生活の自立が保たれるようになってきています。
パーキンソン病の三大徴候・四大徴候の詳細
パーキンソン病の三大徴候についてもう少し詳しくみておきましょう。
振戦
振戦は片側の手の手指に始まり、脚に広がり、しばらくおいて逆側の手足にも起こるようになります。
主に安静時(静止時)に起こります。
「振戦があるから動作がしにくい」というよりも、「震えているのを人に見られたくない」という外観の問題としてとられることもあります。
固縮
手首に最も良く出現し、ついで肘や肩と近い関節に及ぶことが多い。時々頚部に出現することもあります。
固縮は歯車様強剛と表現されます。歯車が回るときのように、関節の角度によってカクカクと動きやすくなったり動きにくくなったりするという意味です。
無動(運動緩慢)
動作時の運動量の減少と動作速度の低下がみられます。パーキンソン症候群による障害の代表的なものです。
仮面様顔貌(顔の表情がなくなる)、単調な話し方、身振り手振りの少なさとなっても現れます。
姿勢反射障害
立ったときに前傾姿勢(前かがみの姿勢)になり、頭部をやや前に出し、膝をやや屈曲した姿勢になります。
また姿勢調節機能も障害されていて、前・後・横から押されるとその方向に突進して倒れてしまう突進現象や、小刻み歩行で徐々に加速し次第に小走りとなる加速歩行が見られます。
歩行時には歩き始めの一歩がでにくく、床に足がへばりついて前方に進めないすくみ足歩行なども見られます。
こちらの図を見れば理解しやすいですかね。
男性は手が震えていて、前傾姿勢となっています。
左側に「shuffing gait」(引きずり歩行)、「unbalanced」(バランスが悪い)、「small steps」(小刻み歩行)と書いています。
パーキンソン病の重症度の分類としては、HoenとYahrの重症度ステージが使われます。
HoenとYahrの重症度ステージ
- StageⅠ:片側性障害。片側上下肢の安静時振戦、固縮
- StageⅡ:両側性障害。四肢体幹の安静時振戦、固縮と姿勢反射異常、無動
- StageⅢ:無動の程度が進み歩行障害が明確。姿勢反射障害、突進現象で転倒しやすい。ADLは自立。
- StageⅣ:無動は高度で起立・歩行障害が強く介助を要する。姿勢反射障害は高度で容易に転倒。立ったら歩ける。ADLは大半が介助を要する。通院は車がないと困難。
- StageⅤ:一人で動けないので寝たきり。移動は車椅子で全介助のみ可能。ADLは全て介助が必要で、労作能力は全くない。
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パーキンソン病の原因は?
パーキンソン病は中脳の黒質という部分に異常が起こり、黒質で生成されるドーパミンという情報伝達物質が少なくなり、線条体という部分から放出されるドーパミンが少なくなることが原因とされています。
なぜそのような症状が起こるのか、その機序はいまだ原因は不明です。
パーキンソン病の多くは50~60歳代に発症し、緩徐に姿勢異常と運動障害が進行します。
男女のどちらかに多く起こることはなく、遺伝もしません。どちらかというとアジア人より白人に多い傾向です。
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パーキンソン病の治療は?
パーキンソン病の治療は大きく3つに分けられます。
薬物療法
不足しているドーパミンを補ったり、ドーパミンの働きを補助したりします。
症状をみながら薬を組み合わせて、その患者に一番効果的なものを選んでいきます。
ちなみに現代の医学では、パーキンソン病を治す薬はなく、症状に合わせた対症療法となります。
リハビリテーション
薬物療法と合わせてリハビリテーションが行われます。
リハビリテーションは理学療法士や作業療法士と、動作能力の維持・改善を目標に行われます。
先ほどパーキンソン病は進行性であるとお伝えしましたが、病気の進行と共に、その時々に行うリハビリテーションは変わってきます。
主には身体がかたくならないように関節可動域運動やストレッチ、姿勢反射障害で転倒しないようにバランスの練習、立ち上がりや立位、歩行動作練習などが行われます。
手術療法
薬物療法やリハビリテーションでよい結果がでない場合、手術療法が選択される場合があります。
手術には2種類あり、パーキンソン病に関わる脳の一部を破壊する破壊術と脳に電極を埋め込む脳深部刺激療法(DBS)があります。
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パーキンソン病とパーキンソン症候群の違いは?
冒頭でも書きましたが、パーキンソン病とよくにた名前で「パーキンソン症候群」(=パーキンソニズム)という症状があります。
その違いはどこにあるのでしょうか。
先ほど詳しくお伝えしましたが、パーキンソン病は振戦・固縮・無動・姿勢反射障害が主たる徴候です。
これらの症候は「パーキンソンニズム」と呼ばれ、パーキンソニズムを引き起こす原因として最も多いのはもちろんパーキンソン病ですが、この他にもパーキンソニズムを起こす疾患はあります。
代表的なものでは、脳卒中に起因する脳血管性パーキンソニズムや、投薬に起因する薬剤性パーキンソニズムです。またパーキンソニズムを呈する高齢者も多くいます。
パーキンソニズムの症状を呈するものをパーキンソン症候群と呼んでいます。
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パーキンソン病の芸能人や有名人、スポーツ選手は?
パーキンソン病を患った芸能人や有名人でもっとも有名なのは、元ボクシングヘビー級王者のモハメド・アリではないでしょうか。
現役時代は「蝶のように舞い蜂のように刺す」と言われた華麗なフットワークで活躍されました。
アトランタオリンピックの聖火リレーで病気を患いならがらも姿を見たときには、感動した人も多かったのではないでしょうか。
また「バックツーザフューチャー」で一躍有名となった俳優のマイケル・J・フォックスも、パーキンソン病であることを公表して病と戦っています。
「いまを生きる」「レナードの朝」などの代表作がある俳優のロビン・ウィリアムズは亡くなってからパーキンソン病であったことが明らかになっています。
その他の外国人ではアドルフ・ヒトラーや鄧小平もそうですね。
日本人では「芸術は爆発だ」で有名な芸術家の岡本太郎さん、小森のおばちゃまこと小森和子さん、小説家の江戸川乱歩さんがそうです。
また永六輔さんは闘病中ですが、病にも負けず現在もラジオ番組でご活躍されています。